過電流が発生すると、電線が燃えたり溶けたりして火災に発展してしまう可能性があります。
しかし、分電盤に配線用遮断器が設置されていると、過電流が発生しても自動で回線を遮断してくれるので、火災などの事故が起きる心配がありません。
ただし、配線用遮断器にはMCBとMCCBで2つの種類があるため、違いを把握しておくことが大切です。
そこで今回は、配線用遮断器の種類や用途だけでなく、選び方や交換時期などもまとめて解説します。
配線用遮断器とは
配線用遮断器(ブレーカー)とは、分電盤に取り付けられている配線器具です。
配線や電気機器の故障などで許容電量以上の電力を使用した場合、火災や感電事故を未然に防ぐために配線用遮断器が素早く異常を検知し、自動で電気を止めます。
また、配線用遮断器があると異常電流が発生しても配電盤や受変電設備へ逆流しないので、もしものときも外部へ影響をおよぼす心配がありません。
配線用遮断器の種類・用途
この項目では、配線用遮断器の種類を用途とともにご紹介します。MCB
MCBは「Miniature circuit Breaker」の頭文字を取った略称で、主に一軒家やアパート、マンションなどの家庭用に使用されるサイズの小さい配線遮断器です。
低電流で作動するように設計されているため、最大電流は125A未満、最大電圧は約230Vまたは400Vに設定されています。
MCBは、過電流が発生するとバイメタルストリップがコイル状に変形し、曲がることで電気回路を切断します。
MCCB
MCCBは「Molded case circuit
Breaker」の頭文字を取った略称で、主にビルや工場、大型商業ビルなどの工業用に使用される大型の配線遮断器です。
高電流でも作動するように設計されているため、最大電流は15A~2,500A、最大電圧は約600V~1,000Vで設定されています。
MCCBは、過電流が発生すると加熱されたバイメタルストリップが固定してある接点から離れるように曲げられるので、電気回路が切断されます
配線用遮断器の交換時期の目安
配線用遮断器の交換時期は、日本電機工業会「低圧機器の更新推奨時期に関する調査報告書」に記載されている情報によると、15年(住宅用は13年)が推奨されています。ただし、以下の異常が生じた場合は設置から15年が経過していなくても交換しましょう。
- 黒いすす汚れや金属溶解物の付着が著しい
- 端子部の変色が著しい
- 絶縁部の損傷が認められる
- 通電状態で本体部が70度以上を越えている
- 発煙や異臭が生じている
交換を怠った場合、過電流が起きても配線遮断器が正常に作動しなくなるため、異常が見られた場合は早めに交換しましょう。
配線用遮断器の選び方・比較ポイント
配線用遮断器を選ぶ際は、AT値(アンペアトリップ/配線用遮断器が働いて電流が遮断される電流値)を設定するために、配電盤へ流れる電流を把握しましょう。AT値は流れる電流値x1.2~1.5倍に設定しておくと、モーターが追加されたときに融通が利くため、便利です。
次に、AT値が決まったあとはAF値(アンペアフレーム/配線用遮断器が耐えられる電流値)を決めます。
AT値が15AT以下であれば30AFがおすすめです。
20ATの場合、30AFだと余裕がないので、もうワンランク上のAT値を選びましょう。
配線用遮断器は上記の範囲で選択すると、用途に適した製品を設置できます。
配線用遮断器を扱う主なメーカー
配線用遮断器を取り扱う主なメーカーは、以下のとおりです。
配線用遮断器は一般的な製品のほか、メーカーによって太陽光発電用や電気温水器用、スリムタイプ・屋外用・リモコン対応製品など、複数の種類があります。
配線用遮断器を選ぶ際は、取付場所に適切なものを各メーカーから探してみましょう。