自己消火性と耐候性を備えているため、露出配管を施行する際の使用に適しています。
ただし、PF管には2つの種類があるので、現場ごとに製品の使いわけが必要です。
そこで今回は、PF管の基本情報からPE管の種類、交換時期の目安について解説します。記事の後半ではPF管を扱っているメーカーについても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください
PF管とは
PF管とは、自己消火性を備えた柔軟性の高い合成樹脂製可とう電線管の1つです。エアコンの配管を壁や天井の中に隠し、外から見えないように施行する「隠蔽配線」や、配管をあえてむき出しにして施行する「露出配線」を施行する際に使用します。
PF管は耐候性に優れているため、直射日光が当たる屋外の電線やケーブルを保護する際も便利です。
特に、太陽発電パネルの接続電線を保護する際の管として多く使用されています。
CD管との違い
合成樹脂製可とう電線管には、PF管の他にCD管もあります。PF管とCD管の大きな違いは、自己消火性と耐候性の有無です。PF管は自己消火性と耐候性を備えているため、隠居配線や露出配線でも活用できます。CD管には自己消火性や耐候性が備わっていないので、電線管として使用する場合はコンクリートへ埋め込む方法でしか使用できません。
なお、PF管もコンクリートへ埋め込んで使用できますが、PF管はCD管より高価なため、この場合は安価なCD管を使用するケースが多いです。
CD管の色はオレンジのみですが、PF管は白・黒・アイボリーなど豊富なカラーから選択できる点も違います。
PF管の種類・用途
PF管の種類は、屋内外さまざまな場所で使用できる「PFS管」と、より紫外線の影響を受けにくい「PED管」の2つです。PF管の交換時期の目安
PF管は合成樹脂の効果で耐久性に優れており、時間による経年劣化も受けにくいです。また、合成樹脂は微生物の分解による化学変化も起きにくい素材なので、コンクリートや地中に埋め込んで使用した場合でも、痛みにくいです。
そのため、地中や屋内で使用する場合は特に交換の必要性がありません。
ただし、太陽光発電パネルの接続電線を保護する場合は、日光だけでなく雨風の影響も終日受けるので、PF管は20年ほどで交換時期を迎えます。
交換しないまま使用していると、PF管にヒビや割れが生じ、電線がむき出しになってしまうので、注意をしましょう。
PF管の選び方・比較ポイント
PF管は基本的に汎用性の高いPES管を使用しますが、太陽光に終日さらされる場所では、より耐候性と耐久性の高いPED管の利用がおすすめです。また、PF管を選ぶ際は、保護する電線の本数や太さによって適切な内径を選びましょう。
電線の太さ | 電線の本数とCD管の最小内径 (mm) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
単線(mm) | 撚り線(mm) | 1本 | 2本 | 3本 | 4本 | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 | 9本 |
1.6 | 14 | 16 | 22 | |||||||
2.0 | 5.5 | 14 | 16 | 22 | 28 | |||||
2.6 | 8 | 14 | 16 | 22 | 28 | 36 | ||||
3.2 | ― | 14 | 22 | 28 | 36 | |||||
― | 14 | 14 | 22 | 28 | 36 | 42 | ― | |||
― | 22 | 16 | 28 | 36 | 42 | ― | ||||
― | 38 | 22 | 36 | 42 | ― | |||||
― | 60 | 22 | 42 | ― | ||||||
― | 100 | 28 |
PF管を扱う主なメーカー
PF管は、主に以下3つのメーカーで取り扱っています。PF管の性質や使用できる場所は、どのメーカーで扱っている製品も同じです。
ただし、製品名や付随機能、および付属品の種類はメーカーごとに異なります。
そのため、PF管を選ぶ際は、施工場所に適した付随機能や付属品のある製品を選びましょう。
未来工業
未来工業のPF管は、PES管が「ミラフレキSS」、PED管が「ミラフレキSD」「ミラフレキMF」という名称で販売されています。ミラフレキSSは無地タイプとライン入りタイプがあり、ライン入りのものは配線が入り組んでいても識別しやすいです。
ただし、シロアリを寄せ付けない「防ギ仕様」や、ネズミが嫌がる成分を含ませた「防ソ仕様」のPF管は無地タイプのみとなっています。
また、ミラフレキMFはミラフレキSDより耐候性に優れているため、太陽光発電パネルの屋外配線用に使う場合は、ミラフレキMFがおすすめです。
パナソニック
パナソニックのPF管は、PES管が「パナフレキエース」、PED管が「パナフレキPED」という名称で販売されています。パナフレキエースには、燃焼時に有害なハロゲン系ガスや、ダイオキシンを発生させない「パナフレキエース(環境調和型)」もあります。
パナソニックのPF管は軽量で運搬しやすい点が特徴です。
1巻50mで、パナフレキエースは最小約3.6kg、パナフレキPEDは最小4.4kgしかないので、一度に多くのPF管を持ち運べます。
また、パナフレキエースとパナフレキPEDは手で容易に曲がるだけでなく、ナイフで簡単に切断できるため、施行しやすい点も特徴です。
古河電気工業
古河電気工業のPF管は、PES管が「プラレキPES」、PED管が「プラレキPED」という名称で販売されています。プラレキPESには無地だけでなく、カラーライン入りもあり、カラーライン入りは電気工事JV 区分、弱電・強電区分に便利です。
プラレキPEDは古河電気工業の独自構造により凹凸が目立ちにくくなっているので、露出配管で使用しても外観を損ねにくいです。
さらに、プラレキPEDには業界最高レベルの耐候性を備えた「プラ歴PEDハイクオリティ・ブラック」や、東光電気工事株式会社と共同開発した鋼管と同等の耐久性を持つ「プラレキ タフスト」もあります。