電線を保護する資材のひとつに、合成樹脂管があります。
合成樹脂管は絶縁性や耐水性、耐油性に優れているため、幅広い環境での使用が可能です。
ただし、合成樹脂管にはPF管・CD管・VE管・FEP管と4つの種類があるので、それぞれの特徴を生かした環境下で使用しなくてはなりません。
そこで今回は、合成樹脂管の概要とともに、合成樹脂管の種類や用途を解説します。
合成樹脂管とは
合成樹脂管とは、電線を保護するための電線管です。塩化ビニルを主な材料として使用されていることから、塩ビパイプ、ビーパイとも呼ばれます。
合成樹脂管は、電線管の特性に合わせて屋内外の施工現場で使用できるだけでなく、絶縁性や耐水性、耐油性にも優れているので、腐食に強い点も大きな特長です。
ただし、強度は金属製の電線管より弱いため、圧力がかかる場所での使用には適していません。
合成樹脂管は「PF管」「CD管」「VE管」「FEP管」の4種類があるので、施工する際は、事前にそれぞれの合成樹脂管の特徴を把握しておく必要があります。
合成樹脂管の種類と用途
ここでは合成樹脂管の種類と用途について解説します。PF管

PF管とは、柔軟性と自己消化性を兼ねそなえた合成樹脂管です。
そのため、直射日光が当たる屋外や、火災が起きる可能性のある場所でも安心して使用できます。
また、見た目が似ているCD管と区別しやすいよう、ブラック・ホワイト・アイボリー・ベージュなど、さまざまな色で作られている点も特徴です。
施工場所と近い色のPF管を選択すると、配管が目立ちにくくなります。
さらに、PF管は内側がなめらかで電線を引き込みやすい点や、電子機器の近くで使用しても電磁干渉を起こさない点もメリットです。
ただし、PF管は気温の影響をダイレクトに受けるので、冬は硬くなりやすく、曲げる際に割れてしまう危険性があります。
一方、夏はやわらかくなりやすいため、予想外の方向に曲がってしまいやすい点がデメリットです。
CD管

CD管とは、自己消化性を持たないコンクリート埋め込み専用の合成樹脂管です。
見た目はPF管と似ていますが、間違えにくいよう、CD管は必ずオレンジ色で作られています。
CD管はケーブルを保護するための露出配管として使用されることもありますが、CD管には耐候性がなく、CVなどの電力ケーブルを入れると発火する恐れがあるので、基本的にはコンクリートに埋め込んで使用します。
配管をコンクリートに埋め込まない場合は、先にご紹介したPF管を使用しましょう。
ちなみに、PF管もコンクリートに埋め込むことは可能ですが、PF管はCD管より価格が高いので、コンクリートに埋め込む際は価格の安いCD管の利用が適しています。
CD管を取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
VE管

VE管とは、可とう性のない合成樹脂管です。
主に電線を保護するために使用されますが、硬質塩化ビニルで作られているため、PF管やCD管のように手でかんたんに曲げることはできません。
熱を加えるとかんたんに曲げられますが、VE管を曲げる際は屈曲部内側の半径を管内径の6倍以上確保しなければならないので、曲げ過ぎに注意しましょう。
VE管の接続方法は、TSカップリングを使用する方法のほか、熱加工を施す方法もあります。熱加工を施す場合は、VE管の先端をガストーチで温めてから、接続先のVE管を差し込みましょう。
数分間手で固定させると、VE管同士を接続できます。
VE管は耐水性と耐候性に優れているので、屋内はもちろん、屋外でも使用可能です。
鋼製の電線管と比べると衝撃に弱いですが、VE管は軽く熱を加えるとすぐ曲がるので、鋼製の電線管より扱いやすい点がメリットといえます。
VE管を取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
FEP管
FEP管とは、地中に埋め込む電線やケーブルを保護するための合成樹脂管です。衝撃や圧力に強いにもかかわらず、手でかんたんに曲げられることから「可とう性電線管」と呼ばれることもあります。
地中に埋めて使う合成樹脂管にはPF管やCD管がありますが、管路が28mm以内だとPF管やCD管、28mm以上だとFEP管が使用されます。
FEP管は電線管の表面が波状になっているため、重たい物が乗ってもたわみにくい点が特徴です。
また、波状になっていることで電線との接触面積を小さくできることから、電線を引き込む際に電線を傷つけにくいです。
FEP管は耐寒性・耐薬品性・耐油性・耐水性と多くの耐性を持つ一方、耐熱性がないので、熱が加わらない環境で使用する必要があります。
FEP管は基本的に地中へ埋め込んで使用するため、耐熱性が低くても問題ありませんが、施工場所や保管場所の近くで火を扱う作業は避けましょう。 FEP管の主な取り扱いメーカーは、以下のとおりです。