ケーブルや電線を接続したり保護したりする際は、ボックスという配線資材を使用します。
ただし、ボックスには複数の種類があるので、使用場所や配線の分岐数などにあわせて最適なタイプを選ぶことが大切です。
そこで今回は配線資材のひとつであるボックスについて、概要だけでなく、種類や交換時期、選び方まで具体的にご紹介します。
記事の最後ではボックスを取り扱っている日本の主要メーカーもご紹介するので、あわせてご覧ください。
目次
ボックスとは
ボックスとは、ケーブル同士の接続部分を保護したり、電線管内のケーブルを取り扱いやすくしたりするための配線資材です。ボックスには以下の役割があります。
ボックスの役割
- ケーブル接続部分にホコリが付いたり、ネズミが噛みついたりしないように保護する
- 電線管のケーブルを扱いやすくする
- 電線管を壁内で固定する
- 壁にコンセントやスイッチを接続する際に壁材の負担を軽減する
ボックスの種類・用途
ここでは、ボックスの種類別に用途を解説します。アウトレットボックス
アウトレットボックスとは、ケーブルや電線の配線工事を行う際、配線を分岐したり接続したりする際に使用するボックスです。
また、電線の引き出しやスイッチ・コンセント・照明器具の取り付け、電話配線の取り出しを行う際にも使用されます。
アウトレットボックスは、天井内に埋め込んだり、露出で配線させたりと用途幅が広いです。
材質もステンレス・樹脂・銅と複数あるため、使用場所に適したボックスを使用できます。
プルボックス
プルボックスとは、複数の電線管やケーブルが集まっている部分に水道管や電線装置などを取り付ける際、電線やケーブルをまとめて収納するためのボックスです。
配線をプルボックスに収納させると、取り付け場所がスッキリするので、工事がスムーズに進みます。
また、電気設備技術基準によって「電線同士は電線管内で接続しなければならない」と定められているため、電線を延長する際や分岐する際にも活用されます。
コンクリートボックス
コンクリートボックスとは、電線管の分岐や長い電線管の中継接続、電線管内のケーブルや電線の接続・分岐をコンクリート内で行うためのボックスです。主に、放送スピーカーや照明器具、自動火災報知機などをコンクリート壁に取り付ける際に使用します。
用途はアウトレットボックスと同じですが、コンクリート内で使用する際はコンクリートボックスを使用するケースが多いです。
コンクリートボックスは、形(四角・八角)、大きさ、材質(鉄・銅・耐衝撃性樹脂など)から現場に合うものを選択できます。
スイッチボックス
スイッチボックスとは、照明のスイッチやコンセントの裏に埋め込んで使用するボックスです。
電線やケーブルが断熱材や造営材と接触しないように、ボックスで保護します。
スイッチボックスの形状は、埋め込み型と露出型の2種類です。
埋め込み型は石膏ボードなどの裏側に留め、表からボードを切り、スイッチやコンセントを取り付けたいときに使用します。
一方、露出型はスイッチやコンセントを後付けしたい場合、壁にボックスを取り付け、ボックス内にスイッチやコンセントの基盤を入れ込んで使用します。
丸型露出ボックス
丸型露出ボックスとは、コンセントやスイッチの配線器具を収納するためのネジ付きボックスです。
ボックスは丸型の形状をしており、外周に金属管を接続できるハブが1つから4つ付いています。
ハブはネジ付きとネジなしの2種類があるため、接続部分の形状にあわせて最適なボックスを選択できます。
丸型露出ボックスは電線管の管端に接続し、照明器具の取り付けや電線接続用、および非常灯や感知器などを取り付ける際に使用する配線資材です。
ユニバーサルエルボ
ユニバーサルエルボとは、空圧機器配管のチューブを接続する際に使用する配線資材です。
適応したサイズのチューブに差し込むだけで固定できるだけでなく、継手の口部分にあるリングを押し込むと取り外しも簡単に行えます。
ユニバーサルエルボには、ネジの形状や構造の違いによって、ストレート、メスストレート、ユニオンなど複数の種類があります。
また、ネジ部の材質にも複数の種類があるので、食品・薬品関連、静電気散逸帯電防止、クリーン環境など、使用する場所にあわせて最適なタイプを使用可能です。
1方出
1方出とは、丸型露出ボックスや、露出スイッチボックスのハブがボックスから1か所だけ出ているタイプです。電源を配線器具から派生しない場合は、1方出の露出スイッチボックスを使用します。
1方出の配線資材は、機器と電源を接続したり、異なる機器同士を接続したりするときに使用される場合が多いです。
配線の引き出し口が1方向のみだと配線を整理しやすいほか、狭い場所でもスペースの無駄を減らして効率よく配線しやすいです。
2方出
2方出とは、丸型露出ボックスや、露出スイッチボックスのハブがボックスから2か所出ているタイプです。1つの配線から2方向へ分岐させたい場合に使用します。
具体的には、1つの電源を2か所の照明器具やコンセントボックスに分配したいときに活用する場合が多いです。
2方出を採用すると誤接続やショートを起こすリスクが軽減されるため、配線の数が増えても安全に接続しやすいです。
エントランスキャップ
エントランスキャップとは、電柱や鋼管ポールのように屋外で垂直に立っている電線管の末端へ取り付け、電線管に雨水が入り込んだり、電線被覆が損傷したりしないようにする配線資材です。
電線の取り出し口は雨水が入り込まないように下を向いており、3つの穴が開いています。
また、材料は樹脂・金属の2種類で、用途別に使い分けることが可能です。
エントランスキャップと似た資材に、ターミナルキャップがあります。
どちらも用途は同じですが、ターミナルキャップは水平に施設された電線管の末端に取り付ける資材です。
ボックスの交換時期の目安
ボックス内に入れ込む電線やケーブルは、20年~30年が耐用年数の目安です。そのため、ボックスも20年~30年を目安に交換するのがおすすめといえます。
また、20年未満であってもボックスにひび割れやサビ、変色などの劣化が見られた場合は交換がおすすめです。
ボックスに劣化症状が見られたにもかかわらず交換しないまま使用し続けていると、ボックス内に雨水やホコリなどが入り込んで故障や火災を起こす危険性があるので、注意をしましょう。
ボックスの選び方・比較ポイント
ボックスを使用する際は、まず用途にあわせて最適なボックスを選びます。
天井に埋め込みたい場合は「アウトレットボックス」、水道管や電線装置を接続したい場合は「プルボックス」、コンクリートに埋め込みたい場合は「コンクリートボックス」、スイッチやコンセントを設置したい場合は「コンセントボックス」というように、用途に合ったボックスを選びましょう。
そのあとは、電源から何本配線を伸ばすかにあわせ、配線の出口を1方出か2方出、または3方出、4方出から選びます。
ただし、ボックスは同じ種類でも異なる材質で作られている場合があります。
鋼製・樹脂製・金属製など、材質によって使用できる場所や耐熱性などが異なるので、ボックスを選ぶ際は、設置場所にあわせて材質選びも慎重に行いましょう。
ボックスを扱う主なメーカー
ボックスは、主に以下のメーカーで取り扱っています。パナソニックは国内大手の総合電器メーカー、丸一鋼管は電縫管の生産量が業界1位のメーカー、電成興業は電線管付属品などの配線資材専門メーカーです。
また、外山電気は1929年に創業した電設資材の専門メーカー、未来工業は数多くのオリジナル製品を生み出している電設資材・管工機材メーカー、日動電工は電力用配電機材や住宅用電設資材を製造販売する専門メーカーです。