スイッチは、私たちが生活をする上でかかせない配線器具です。
ただし、スイッチには多くの種類があるので、それぞれの特性を理解し、適切な場所で使用することが大切です。
そこで今回は、スイッチの概要とともに、スイッチの種類や用途、交換目安や比較ポイントをご紹介します。
記事の最後ではスイッチを扱う主要メーカーもご紹介するので、あわせてご覧ください。
目次
スイッチとは
スイッチとは、電気回路のオンとオフを切り替えたり、電気回路の流れを変えたりする際に使用する部品です。スイッチの裏側には、電気の通り道となる金属片が付けられています。
スイッチを操作して金属片が回路につながったり離れたりすると、それに連動して電気のオン・オフが切り替わる仕組みです。
スイッチには押しボタン式のほか、スライド式、トグル式などさまざまな形状があるので、部屋の雰囲気や用途にあわせて最適なものを選んでみましょう。
電線管の種類と用途
この項目では、スイッチの種類を用途とともにご紹介します。B(片切)
B(片切)とは、1つのスイッチで1つの電気回路を操作するスイッチです。
玄関や寝室、キッチン、リビング浴室など、スイッチの中でもっとも多く使用されています。
B(片切)は配線がシンプルなため、設置しやすく安価な点がメリットです。
ただし、B(片切)は常に片方の線が電源と接続されているので、スイッチを切っていても微弱な電流が流れています。
そのため、B(片切)は漏電や感電を引き起こす可能性をゼロにできない点がデメリットです。
C(3路)
C(3路)とは、2か所のスイッチで1つの電気回路を操作するスイッチです。玄関で付けた電気をリビングで消す、階段下で付けた電気を階段上で消すといったような操作ができるので、C(3路)は住宅のスイッチとして多く使用されています。
C(3路)は左右どちらにスイッチを倒しても電気のオン・オフが切り替わるため、B(片切)のようにスイッチの片側へ黒い印が入っていません。
C(3路)とB(片切)は見た目が似ているので、購入時はここで違いを判断しましょう。
D(両切)
D(両切)とは、スイッチをオフにすると回線に流れる電流が完全に遮断されるスイッチです。B(片切)はスイッチをオフにしても片方の線が電源とつながっていますが、D(両切)はスイッチをオフにすると電源から線が完全に離れるため、漏電や感電のリスクを大幅に軽減できます。
D(両切)はB(片切)より安全性が高いので、浴室のように水気の多い場所や、電圧が強い場所で使用されるケースが多いです。
ただし、B(片切)より価格が高く配線が複雑になる点はデメリットといえます。
E(4路)
E(4路)とは、3か所以上のスイッチで1つの電気回路を操作するスイッチです。C(3路)より1か所多い場所から電気回路を操作できるため、廊下の長い住宅や部屋数の多い住宅、ビルなどで多く採用されています。
E(4路)は、C(3路)と組み合わせて配線します。
E(4路)1つにつきC(3路)を2つ組み合わせられるので、E(4路)が増えるごとに操作できるスイッチの数も増える仕組みです。
パイロット
パイロットスイッチとは、スイッチがオンになっているときにスイッチランプが赤色に点灯するスイッチです。暗い場所はもちろん、明るい場所でも電源のオン・オフを一目で判断できるため、照明や機械の消し忘れを防止したい場所への設置がおすすめといえます。
また、パイロットスイッチはトイレやウォークインクローゼットなどに設置すると、扉を開けなくても照明が付いているか消えているかを確認できるので便利です。
ホタル
ホタルスイッチとは、スイッチがオフになっているときにスイッチランプが緑色やオレンジ色に点灯するスイッチです。
ホタルスイッチは暗い場所でもスイッチの場所を判断できるので、廊下や階段、玄関やトイレのように周囲が暗い状態で照明を付ける機会が多い場所へ設置されます。
先にご紹介したパイロットスイッチはオンの状態、こちらのホタルスイッチはオフの状態で光るため、用途によって使い分けると良いでしょう。
ちなみに、ホタルスイッチはパナソニックの商標登録なので、他社では別の名称で同様のスイッチが販売されています。
表示付き
表示付きスイッチとは、スイッチのオン・オフがスイッチランプの点灯によって判断できるスイッチです。ここまでご紹介してきたパイロットスイッチやホタルスイッチが表示付きスイッチに当てはまります。
暗い場所でもスイッチの場所をすぐ確認したいときや、付け忘れ・消し忘れを防止したいときに便利なスイッチです。
また、表示付きスイッチには、停電などで通電していない状態でも蓄光されていた光を利用してスイッチランプをしばらくの間光らせるタイプもあります。
ネーム付き
ネーム付きスイッチとは、スイッチのハンドル部分にネームカードを差し込めるスイッチです。スイッチごとに「リビング」や「トイレ」などのネームカードを差し込めるので、複数のスイッチが1か所に集まっている場合や、遠くからだと何のスイッチか判断しにくい場所などで主に使用されます。
ネーム付きスイッチはパイロットスイッチやホタルスイッチにも対応しているので、よりスイッチの場所やオン・オフを確実に把握したい場合は、検討してみても良いでしょう。
かってにスイッチ
かってにスイッチとは、パナソニックが販売しているセンサースイッチです。センサーが人の動きを感知して照明を自動で入り切りしてくれるため、両手が塞がっているときも自動で灯を照らしてくれるだけでなく、電気の消し忘れも防止できます。
ちなみに、かってにスイッチのようなセンサースイッチは、パナソニック以外でも「あかりセンサースイッチ」や「自動照明センサスイッチ」など、別の名称で販売されています。
タイムスイッチ
タイムスイッチとは、照明器具や換気扇、空調などを設定した時間でオン・オフできるスイッチです。タイムスイッチには、24時間で時間設定できるタイプ以外にも、週間・月間・年間などでプログラムを設定できるマイコン内蔵タイプもあります。
タイムスイッチは直射日光が当たる場所や、極端に寒暖差が激しい場所に設置すると内部時計が狂いやすいので、設置場所に注意が必要です。
また、タイムスイッチは約6~7年で寿命を迎えるので、正確な時間でオン・オフを切り替えるためにも定期的に交換しましょう。
遅れスイッチ
遅れスイッチとは、スイッチをオフにしたあと、一定時間が経過してから電気回路が切断されるスイッチです。玄関に遅れスイッチを設置すると、電源をオフにしたあともしばらく玄関を明るく照らしてくれるので、夜に出かける機会が多い人も過ごしやすくなります。
また、遅れスイッチの中には1つのスイッチで照明と換気扇を操作できるものもあります。
こちらはスイッチをオフにすると照明はすぐ消えますが、換気扇は一定時間作動したあとに止まるため、キッチンやトイレ用のスイッチとしておすすめです。
調光スイッチ
調光スイッチとは、照明の明るさを調整できるスイッチです。調光方法はツマミやボタンなど複数あるので、ユーザーにとって使いやすいタイプを選択できます。
調光スイッチは、リビングや寝室、店舗などに設置すると雰囲気のある空間を簡単に演出できます。
また、調光度合いにより省エネ効果も期待できるため、節電にもなるでしょう。
ただし、調光スイッチは通常のスイッチよりも価格が高く、照明の周りが暗く感じてしまう可能性がある点に注意が必要です。
スイッチの交換時期の目安
スイッチの交換時期の目安はおおよそ10年ですが、ホコリの多い場所や高温場所などで使用している場合は、スイッチの寿命が短くなります。
また、設置から10年未満のスイッチでも反応が鈍かったり、スイッチの表面に異常が出ていたりする場合は交換が必要です。
スイッチを交換しなかった場合は、漏電や火災を引き起こしてしまう可能性があるので注意をしましょう。
ちなみに、スイッチを交換するためには電気工事士の資格が必要なので、交換する際は業者へ依頼しましょう。
スイッチの選び方・比較ポイント
スイッチを選ぶ際は、機能性、デザイン性、予算、安全性などを考慮して最適なタイプを選びましょう。また、スイッチは設置場所によっても適切なタイプが異なります。暗い場所に設置する場合はパイロットスイッチやホタルスイッチ、階段や廊下などへ設置する場合はC(3路)スイッチやE(4路)スイッチがおすすめです。
そのほか、洗面所や浴室など水気が多い場所に設置する場合は、スイッチオフで電気回路を完全に遮断できるD(両切)が適しています。
1か所に複数のスイッチが集まっている場合はネーム付きスイッチを選ぶと使い勝手が良くなります。
ちなみに、スイッチは同じタイプでもメーカーによって調光レベルやランプの色などが若干異なるので、複数のメーカーで商品を見比べてみるのがおすすめです。
スイッチを扱う主なメーカー
スイッチは、主に以下のメーカーで取り扱っています。また、各メーカーではさまざまなスイッチシリーズを展開しているので、好みや使い勝手にあわせてスイッチを選択できます。
各メーカーが展開しているスイッチシリーズ
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パナソニック
アドバンス・コスモ・フルカラー など -
東芝
WIDE-I・E’sワイド・E’s -
神保電器
J-WIDEスリム・J-WIDE