電線やケーブルを配線する際は、電気系統のトラブルを未然に防いだり、配線の施工効率を上げたりするために、電線管を使用して電線やケーブルを保護します。
ただし、電線管には複数の種類があり、使用場所や特徴が異なるので、それぞれの違いを把握しておかなければなりません。
そこで今回は、電線管の概要とともに、電線管の種類や用途、各電線管を取り扱っているメーカーなどをご紹介します。
電線管とは
電線管とは、電線やケーブルを保護するためのパイプです。電線やケーブルは露出して配線すると、電力供給が絶たれてしまったり、ショートを起こして火災に発展してしまったりするリスクがあります。
そのため、電線やケーブルを配線する際は、このようなトラブルを防ぐために電線管を使用します。
また、電線管を使用すると、配線が込み合っている場所でも電線やケーブルを取り出しやすくなるので、施工効率を上げる目的としても使用されるケースが多いです。
電線管の種類と用途
ここでは、電線管の種類と用途をご紹介します。薄鋼電線管(C管)
薄鋼電線管はC管とも呼ばれている電線管で、鋼製電線管のうちの一種です。主に室内の天井配管や壁配管を施工する際に使用されます。薄鋼電線管は、管内に「より線」もしくは直径3.2mm以下の「単線」を通して使用するのが一般的です。
また、薄鋼電線管は両端がねじ切られているため、以下のようにねじ山を組み合わせてさまざまな部品と接続できます。
種類 | 概要 |
電線管+電線管 |
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電線管+プルボックス/分電盤/アウトレットボックスなど |
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電線管+丸形露出ボックス/露出スイッチボックス |
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屋外で電線やケーブルを保護したい場合は、耐候性に優れている厚鋼電線管を使用しましょう。
薄同電線管を取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
厚鋼電線管(G管)
厚鋼電線管はG管とも呼ばれている電線管で、こちらも薄鋼電線管と同じく、鋼製電線管のうちの一種です。厚みが2.3mm以上と薄鋼電線管より分厚いため、強い衝撃から電線を守ることに優れています。
また、腐食しやすい環境下でも劣化しにくいので、屋外はもちろん、化学工場などで電線やケーブルを配線したいときにも適した電線管です。
ただし、厚鋼電線管は丈夫な反面、重くて持ち運びにくく、強度があるので曲げにくい点がデメリットといえます。
そのため、現場で厚鋼電線管を曲げなければならないときは、職人によって完成度に差が出やすい点に注意が必要です。
厚鋼電線管は両端がねじ切られているので、接続させる際はねじ付きカップリングを使用しましょう。
厚鋼電線管を取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
ねじなし電線管(E管)
ねじなし電線管はE管とも呼ばれている電線管で、これまでご紹介してきた薄鋼電線管や厚鋼電線管と異なり、両端がねじ切られていない電線管です。薄鋼電線管や厚鋼電線管よりさらに薄い1.2mm程度の厚さで作られているため、持ち運びやすく、施工しやすい点が特徴といえます。
また、ねじ溝がないぶん配管を付けたり外したりしやすいので、電線やケーブルを追加したり変更したりする機会が多い場所への施工がおすすめです。
さらに、ねじなし電線管は本体にねじ溝を掘る必要がないぶん内径を広くできることから、より多くの電線やケーブルを入線したい場所での利用もおすすめといえます。
ねじなし電線管にはねじ溝がないので、接続させる際は、ねじなしカップリングを使用しましょう。
ねじなし電線管を取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
二種金属製可とう電線管(プリカチューブ)

二種金属製可とう電線管は金属製可とう電線管のひとつで、主に配線を地面に埋め込む際や、屋外にある照明や電灯を施工する際に使用されます。
金属でありながら手でかんたんに曲げられる点や、振動を吸収する効果が高い点が特徴です。
二種金属製可とう電線管には「プリカチューブ」と「防水プリカチューブ」があります。
プリカチューブは、内側から耐水紙・銅板・亜鉛メッキの3構造で作られている二種金属製可とう電線管です。防水性がないので、主に屋内の機械回りで使用されます。
一方、防水プリカチューブは内側から耐水紙・銅板・亜鉛メッキ・軟質ポリ塩化ビニル(PVC)の4構造で作られた二種金属製可とう電線管です。
防水性があるため、湿気や水気の多い屋外で主に使用されます。
二種金属製可とう電線管は、主に以下のメーカーで取り扱っています。
ステンレス電線管
ステンレス電線管とは、ステンレスで作られた電線管です。耐食性に優れているので、食品や医薬品工場のように衛生面が重視される現場や、沿岸や下水処理施設、海水淡水化施設のような厳しい環境下でも問題なく使用できます。
また、ステンレスは電線管の寿命が長いため、取り替えや塗装などのメンテナンス作業の省力化を図れる点が特徴です。
ステンレス電線管は、薄鋼電線管と厚鋼電線管それぞれ「ねじなし」「ねじ付き」で用意されているだけでなく、手でかんたんに折り曲げられる「可とう電線管」も用意されています。
現場の状況に合わせて使用するタイプを選択できるので、使い勝手の良い電線管といえるでしょう。
ただし、ステンレス電線管に鋼製の付属品を使用すると、異種金属管の電位差によりサビが発生する恐れがあるため、使用は避けてください。
ステンレス電線管を扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。