誘導灯とは、地震や火事などで避難が必要になった場合に、人々を安全に避難口まで誘導する目的で、消防法で設置が義務付けられている照明器具です。
ただし、誘導灯は建物の大きさや設置場所などによって使用できるタイプや大きさなどが異なるため、好きな物を好きな場所に設置することはできません。
そこで今回は、誘導灯の概要や種類、比較ポイントなどを紹介します。最後に誘導灯を取り扱うメーカーも紹介しますので、あわせてご覧ください。
誘導灯とは
誘導灯とは、安全かつ容易に避難できるよう、避難口や避難経路を示すための照明器具です。
誘導灯は、各地方自治体の火災予防条例や消防法施行令第26条などの規則により、旅館や商業施設のように人が大勢集まる場所での設置が義務付けられています。
誘導灯は普段、常用電源で点灯していますが、火事や地震などで電源の供給がなくなると自動的に非常電源へ切り替わるため、停電時でも避難口や避難経路を明るく照らすことが可能です。
誘導灯の種類・用途
この項目では、誘導灯の種類を用途と共にご紹介します。A級
A級の誘導灯は表示面の縦寸法が0.4m以上で、避難の方向を示すシンボルマークがないものは60m、シンボルマークがあるものは避難口が40m、通路は20mの間隔で設置基準が設けられています。
具体的には以下の誘導灯がA級に区分されます。
避難口誘導灯
- 光輝度誘導灯40形
- 大型誘導灯(40形x2タイプ)
通路誘導灯
- 光輝度誘導灯40形
- 大型誘導灯(40形x2タイプ)
A級の誘導灯はもっともサイズが大きいため、百貨店や駅などの最終出口に設置されることが多いです。
B級
B級の誘導灯は表示面の縦寸法が0.2m~0.4m未満で、避難の方向を示すシンボルマークがないものは30m、シンボルマークがあるものは避難口から20m、通路は15m間隔で設置基準が設けられています。
B級の誘導灯は表面輝度の違いによって「BH形」と「BL形」に分かれていて、以下の誘導灯が該当します。
BH形
避難口誘導灯
- 光輝度誘導灯20A形
- 大型誘導灯
通路誘導灯
- 光輝度誘導灯20A形
- 大型誘導灯
BL形
避難口誘導灯
- 光輝度誘導灯20B形
- 中型誘導灯
避難口誘導灯
- 光輝度誘導灯20B形
- 中型型誘導灯・大型廊下通路誘導灯
C級
C級の誘導灯は表示面の縦寸法が0.1m~0.2m未満で、避難の方向を示すシンボルマークがないものは15m、シンボルマークがあるものは通路を照らすものに限り、範囲10m間隔で設置基準が設けられています。
具体的には以下の誘導灯がC級に区分されます。
避難口誘導灯
- 光輝度誘導灯10形
- 小型誘導灯
通路誘導灯
- 光輝度誘導灯10形
- 小型誘導灯・中型廊下通路誘導灯(10形x1タイプ)
C形はもっともサイズが小さいので、床面積100㎡未満の場所へ設置されます。
避難口誘導灯
避難口誘導灯とは、緑色の背景で白いドアに向かって緑色の人が走っているマークが描かれた誘導灯です。
避難口誘導灯の中には、避難口を出たあとにどちらへ向かえばいいのかがわかるよう、白いドアに白い矢印が描かれているタイプもあります。
避難口誘導灯は、避難口のドア上や避難用階段が設置されている場所に設置されることが多いです。
暗闇でも緑色に発光しているため、停電時や火事などで視界が悪いときでも避難口を見つけやすいでしょう。
通路誘導灯
通路誘導灯とは、白背景に緑色の大きな矢印が描かれている誘導灯です。
通路誘導灯の中には、緑色のピクトグラムが走っているマークが矢印と一緒に描かれているタイプもあります。
通路誘導灯は矢印の向きで避難経路を示しており、廊下・階段・通路のうち、曲がり角や避難口誘導灯が有効な範囲などに設置されていることが多いです。
T字路や十字路など、多方面から人が集まる場所では両面形誘導灯を設置し、左右どちらから見ても正しい避難口へ誘導できるように工夫されています。
誘導灯の交換時期の目安
誘導灯を交換する時期の目安は、器具が8年~10年で、バッテリーは4年~6年です。器具は設置してから8年~10年が経過すると、汚れて視認性が低下することや、器具内のブロックが劣化して充電不良や故障が起こる可能性があります。
また、バッテリーは使い始めてから4年~6年が経過すると容量不足や劣化が発生しやすくなり、停電や火事などで電源供給がストップしたときに誘導灯を点灯できなくなる恐れがあります。
以上の点から、誘導灯は設置から4年~6年スパンでの交換が必要です。
誘導灯の選び方・比較ポイント
「消防法施行令第26条」および「消防法施行規則第28条3」では、火事が起きたときに建物内の人々を安全に避難させるために、建物の用途や規模に応じて誘導灯および誘導標識の設置が義務付けられています。そのため、誘導灯は消防法の設置基準に応じたものを選ばなければなりません。
誘導灯の中には、点滅するタイプや誘導音声が付いているタイプもありますが、これらは屋内から直接地上へ通じる出入口、もしくは直通階段の出入口のみに設置が許されています。
誘導灯は自動火災報知設置の感知器と連動して起動する必要があるため、誘導灯は各基準を満たすものを正しく選んで設置しましょう。
誘導灯を扱う主なメーカー
誘導灯は、主に以下のメーカーが取り扱っています。
誘導灯はメーカーによって節電効果が高かったり、リモコンで簡単に点検ができたり、厚さがスリムに設計されていたりと、さまざまな違いがあります。
また、落下防止に備えて軽量化に特化したタイプもあるので、誘導灯を導入する際は、各メーカーの製品をよく見比べましょう。