配管やケーブル、および重量物を建物へ安全に取り付ける際は、支持金具を使用します。
支持金具を使用すると、建物へこれらの資材を頑丈に取り付けることが可能です。
ただし、支持金具は取り付け場所や吊り下げる物の種類によって最適な製品が異なるので、支持金具を使用する際は、各製品の特徴を把握しておきましょう。
そこで今回は、支持金具の基本情報や支持金具の種類を用途とともにご紹介します。
支持金具とは
支持金具とは、配管やケーブル、重量物を支えたり、機器の落下を防止したりするために取り付ける金具です。支持金具を取り付けると、建物にこれらの資材をしっかり固定できるだけでなく、地震や台風などが来てもズレにくくなります。
支持金具は使用場所や使用目的によって使い分けられるよう「パイラック」や「FVラック」「吊り金具」「振れ止め金具」など複数の種類があるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
支持金具と用途
ここでは、支持金具の種類を用途とともに解説します。パイラック
パイラックとは、一般形鋼材に照明器具や吊りボルト、電線管を取り付ける際に使用する支持金具です。
パイラックはネグロス電工の登録商標なので、他社では「Uラック」や吊りボルト支持金具」などと呼ばれています
。また、パイラックは一般鋼材を挟み込むクリップ型の支持金具の総称として広く知られています。
パイラックは固定部分が波型になっているので、一般形鋼材に強く食い込みます。
そのため、振動や衝撃だけでなく、引っ張られる力にも強いです。
パイラックの表面材質は電気亜鉛メッキが標準ですが、耐候性が求められる環境で使う場合は、オールステンレスや、溶融亜鉛メッキ処理がされたパイラックの使用がおすすめといえます。
パイラックを取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
FVラック
FVラックとは、一般形鋼に丸形ケーブルやVVFケーブルを挟み込んで固定するための支持金具です。
丸形ケーブルは通称「SVケーブル」とも呼ばれるケーブルで、屋内配線だけでなく、屋外や建物屋外側面へ取り付ける際に使用されます。
また、VVFケーブルは通称「Fケーブル」とも呼ばれる低圧配電用ケーブルで、住宅など建物の屋内配線やクーラー配線で幅広く使用されています。
FVラックはドライバーの先端でクリップ部分をかんたんに広げられるので、丸形ケーブルやVVFケーブルが複数本あっても、ケーブルを傷めず挟み込むことが可能です。
また、FVラックを一般形鋼に取り付ける際は、ドライバーの柄で押し込むだけで良いため、取り付けも手軽におこなえます。
FVラックを取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
吊り金具
吊り金具とは、天井や壁にさまざまなアイテムを取り付けるための支持金具です。吊り金具には以下のように、使用目的に沿ってさまざまな種類があります。
吊り金具の種類
-
アイボルト
頭部がリング状になっている吊り金具です。荷物にアイボルトを取り付けた後、アイボルトのリング部分にワイヤーやチェーンを取り付けてから吊り上げます。 -
シャックル
クレーンのスリングと重量物を安全に連結させるための吊り金具です。シャックルは重量物の上部や側面に取り付けますが、取り外しが少ない場合は「ボトル・ナット型」、頻繁に取り外す場合は「ねじ込み型」を採用します。 -
吊りクランプ
鋼板などを挟み込んで吊り上げる際に使用する吊り金具です。吊り手がない重量物を吊り上げたい場合に便利です。 -
シメツケアップ
重量物の両サイドにボルトで取り付け、クレーンでひっかける場所を作る吊り金具です。
吊り金具を取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。
吊り金具の取り扱いメーカー
振れ止め金具
振れ止め金具とは、機器の揺れを抑制し、機器の落下や配管の断裂などを防止するための支持金具です。
振れ止め金具には「片側用」と「両側用」の2種類があり、それぞれ以下のように特徴が異なります。
吊り金具の種類
-
片側用
障害物により、パッケージエアコンの振れ止めボルトを交差して取り付けられない場合などに使用する振れ止め金具です。外側のみにボルトを出すことで、振れ止め対策をおこないます。 -
両側用
天井支持金具を両側から振れ止めするための金具です。両側2方向へ同じ位置で振れ止め対策をおこないます。
振れ止め金具は、吊りボルトへ金具を通して使うタイプが一般的です。
しかし、すでに吊りボルトが通っている場所へ後付けできる「後施工タイプ」であれば、既存の吊りボルトを2枚の振れ止め金具で左右から挟み込んで取り付けられます。
振れ止め金具を使用する際は、取り付け場所の状態によって、最適なタイプを選択しましょう。
振れ止め金具を取り扱っている主なメーカーは、以下のとおりです。