富士電線工業は、電線だけでなく各種ケーブルやコードを豊富に取り扱う老舗の電線メーカーです。富士電線工業の電線は国内でのシェア数が高く、現在は海外でも同社の製品が使用されています。
今回は、富士電線工業で取り扱っている電線の種類や特徴とともに、他のメーカーと違うポイントを解説していきます。富士電線工業の電線について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
富士電線工業の電線の特徴
富士電線工業は、1955年創業の老舗メーカーです。取り扱っている電線は、VVF・CVF・EM-EEF・E-VVF・アース(一層/二層)と幅広く、その他にもキャブタイヤケーブルや溶接用・マイクロホン用・計装用・通信用など、複数のケーブルを取り扱っています。
VVFは、全国で約25%のシェア数を誇っているため、4軒に1軒は富士電線工業のVVFを使用している点が特徴です。
家電分野でも、炊飯器用コードの90%、クリーナーコードの80%が富士電線工業の製品を使用しています。
富士電線工業の製品は、国内だけでなく海外でも使用されているので、幅広い国や人々から支持を受けているメーカーといえるでしょう。
他のメーカーとの違い
富士電線工業は、キャブタイヤケーブルの種類や在庫数が国内トップレベルを誇るメーカーです。キャブタイヤケーブルを含めた各種電線の品質が高く、価格もリーズナブルに設定されている点も、他メーカーより優れているポイントといえます。
先にご紹介したとおり、富士電線工業のVVFや炊飯器用コード、クリーナーコードは国内シェア数が高い点も他メーカーにはない強みです。
近年では、電気自動車用の充電ケーブルや新エネルギー関連の電線もしています。
富士電線工業の電線の種類
この項目では、富士電線工業で取り扱っている電線をご紹介します。VVF
VVFは、屋内配線やエアコン配線用の電線です。絶縁体やシースが自己消火性で造られているので、耐熱性に優れています。
絶縁体とシースに色付けができるため、回路識別を簡単にできる点も特徴です。
富士電線工業では、住宅・エアコン配線用の他、200V回路配線用の「200タイプVVF」、アース線が必要な回路用の「公団用VVF」、回路の識別が可能な「カラーVVF」を取り扱っています。
EM-EEF
EM-EEFは、先にご紹介したVVFと同様に、屋内配線やエアコン配線に使用する電線です。ただし、VVFと違い、ハロゲンや鉛を含まない無害で環境に優しい被服素材を使用しているため、エコ電線とも呼ばれています。
EM-EEFは再利用するための分別がしやすく、焼却や埋め立てをしても有害物質を発さない点が特徴です。
富士電線工業のEM-EEFは、絶縁体とシースに色付けした4タイプを取り扱っており、従来のVVFよりも耐熱温度が高く、許容電流値が大きいといった特徴があります。
CVF
CVFは、電気自動車の充電設備やIHクッキングヒーター、エコキュートなどのオール電化製品に使用できる電線です。絶縁体に架橋ポリエチレンを使用しているため、VVFよりも許容電流値が大きいという特徴があります。
富士電線工業で取り扱っているCVDは、許容電流値23Aまでの「CVF1.6mm」、32Aまでの「CVF2.0mm」「200タイプ2.0mm」、アース付きの「200タイプ E-CVE」の4種類です。
E-VVF
E-VVFは、接地極付きのコンセントに対応した電線です。絶縁体とシースは耐熱性に優れているだけでなく、どちらも着色できるので、回路の識別を簡単に行えます。
富士電線工業で取り扱っているE-VVFは、200V回路配線用の「200タイプ」と、アース線が露出している「セパレートタイプ」の2種類です。
セパレートタイプはアース線がシースの外に出ているため、分離しやすく、作業時間を短縮できます。
アース(二層)
アース(二層)は、導体を絶縁体とシースで二層に覆ったアース線です。アース(二層)は、絶縁体が何らかの影響で故障・破損をしてもシースによって電圧が外に漏れ出さない構造となっているため、安全性が高いです。
富士電線工業のアース(二層)は、導体径が1.6mmのタイプと2.0mmのタイプから選択できます。1.6mmは許容電量20Aまで、2.0mmの許容電量は26Aまでです。
アース(一層)
アース(一層)は、導体を絶縁体で覆ったアース線です。導体を覆う素材は絶縁体のみですが、絶縁体の厚さが1.5mmと厚めに取られているため、シースで覆われていなくても十分な安全性を確保できます。
また、富士電線工業のアース(一層)は導体系が1.6mmのタイプと2.0mmのタイプで2種類あり、1.6mmのタイプは許容電量27Aまで、2.0mmのタイプは許容電量35Aまでです。
許容電量はアース(一層)のほうが大きいため、より消費電力の大きい家電にアースを取り付ける際は、アース(一層)を選択しましょう。